オフィスで出会ったネイティブ英語

こんにちは、eigomob.comへようこそ!

外国人の上司を持ったり、外国人スタッフと仕事を共にしたりしていると、いかにもネイティブらしい英語表現に出会うことがあります。今回は、私が過去に職場で学んだネイティブ表現をいくつかご紹介したいと思います。どれも決して難しい表現ではないのですが、日本人の発想からはなかなか出にくい表現だと感じたものを取り上げてみました。

私は、長年グローバル企業の広報部門で仕事をしていましたが、定期的に本社の広報チームから送られてくるメールがありました。そのメールの標題は、“Heads-up!”というもの。「頭を上げろ?」とは、最初は何のことかと思いましたが、これは、今後起こるものごとに対して「前もって注意を喚起する」という意味になります。この標題がついたメールの多くは、例えば、「数日後に本社から新しい社内ポリシーや新しい成長戦略に関するメッセージが発信されるので、各国の広報チームは全社への周知徹底に備えるように」といった内容でした。このheads-upは、私にとっていかにも英語らしさを感じさせる表現のひとつです。

広報業務の一環として顧客向けセミナーの運営に関わっていたときには、セミナー担当者のアメリカ人からちょっとシブい英語表現をおしえてもらいました。「セミナーの参加登録状況はどう?」と尋ねた私に対し、彼の答えは、“It’s in good shape.”。このin good shapeは、これだけで「具合が良い、体調が良い、経営状態が良い、好調だ」という事柄をスマートに表現することができるため、ビジネスの場面でもかなり活用されます。このおしゃれで「使える」ネイティブ表現は、その後、私のお気に入りとなり、色々な場面で随分この表現を使いまくったものです。

私にはこれまでに何人かの外国人ボスの下で仕事をさせていただいた経験がありますが、英語のネイティブスピーカーの下で仕事をしていてラッキーだと思ったのは、やはり、思わぬタイミングで気の利いたネイティブ表現に触れることができた点です。

あるとき勤めていた会社で、ボスと一緒に有楽町の外国人記者クラブに出かける機会がありました。そこで、ボスが知り合いのジャーナリストの方と交わしていたネイティブ同士の会話の表現がとても印象に残りました。お2人は、どこかお互いに所属している団体が定期的に開催するイベントについてお話しされていましたが、別れ際に、どちらからともなく“See you at one of those!”という言葉を発していました。つまり、直訳すると、「そのうちまた、それら(イベント)のどれかで会おうね!」という意味になりますが、そのときの私には、この“at one of those”という表現がとても新鮮に響いたのです。実にシンプルで明確かつ合理的な言葉のコンビネーションで、「これこそネイティブ英語!」と強く感じた瞬間でした。平易な表現でありながらも、英会話の習得に奮闘中の日本人の口からはそうそう出てこない表現ではないでしょうか?

また、別の職場では、直属の上司ではありませんでしたが、アメリカ人の人事部長からの依頼で、全社員向けのメッセージの文面を作成することがしばしばありました。あるとき、年末に各部門で行う忘年会の補助金を会社から支給する方針が役員会で決定されたとのことでしたが、正式なアナウンスがなされる前に、一部の社員の間にその噂が広まってしまったということでした。そこで、アナウンス文を急いで作成してほしいという依頼があったのですが、そのときの彼女からのメールには、“The rumors got around.”(噂が広まった)とありました。

受験勉強でそれなりに英単語を詰め込んだという方であれば、まず「広まる=spread」という単語を思い浮かべる方も多いと思いますが、ちょっとこなれたネイティブ英語を使うと、「広まる」はget aroundと表現できるのです。何だかとても臨場感のある表現だと思いませんか?「こんな噂やこんなニュースがある」といった会話をする場合など、これは日常会話の中でも使える頻度が高い表現かと思います。

最後のエピソードでご紹介するボスは、毎日のスケジュールが過密状態で、彼と15分間話す時間を予約するためには数日待ちが当たり前という、超ビジーな方でした。そんなボスからおそわったネイティブ表現のひとつがsqueeze inという表現です。

squeezeは、「搾る(搾り出す)」、「押し込む」という意味の単語ですが、squeeze in で「~を割り込ませる」という意味になります。彼の場合、定例会議以外での部下とのミーティングについては、隙間のないスケジュールの中に文字通り割り込ませて対応することが常となっていました。彼と話したいときには秘書に連絡して彼女に予定を入れてもらうのですが、重要度が低い内容と判断されると、リクエストを簡単に却下されてしまいます。「○○の件で取り急ぎ重要なご相談があります」などと、やや緊張感を醸し出した文調でリクエストメールを送ると、“Will squeeze you in tomorrow morning.”(明日の朝に)といったような返信メールが彼から直接送られてきたものです。いや~、上司とのアポを取るのも大変な時代がありました。

今回ご紹介した表現は、簡単な表現でありながらも、使いこなせると、とてもネイティブっぽくてカッコいい表現かと思います。チャンスがありましたら、あなたもぜひ使ってみてください。

See you!