ウイットを身に付ける

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英語の世界では、ユーモアやウイットというものがとても大切にされています。英語を話す人々は、皆ジョークが大好きです。彼らは、プライベートの場面でも、ビジネスの場面でも、日常的にジョークを使います。また、ジョークの使い方も本当にうまいと感心させられることが多いです。人との会話を楽しむ文化や習慣が自然と身に付いているのは素敵なことだと思います。

グローバル企業では、通常、社内のメーリングリストに全世界の従業員のメールアドレスが登録されています。メールを送りたい相手のファーストネームをタイプした段階で、似たような名前を持つ従業員のリストがプルダウンに表示されてきます。これはまったく便利なシステムなのですが、とても急いでいる場合などには違う相手を宛先に選んでしまうこともあります。

外国人エグゼクティブの秘書をしていた私のかつての職場友だちが、ある時社内の友人にランチのお誘いメールを英語で送ったところ、返信のメールがイタリア事務所から届いたという話を聞きました。

「ランチのお誘いありがとう!明日ぜひご一緒したいのですが、僕のオフィスからそちらまではちょっと遠すぎるので、残念ながら約束の時間に間に合いそうにありません。またの機会に!Ciao! (チャオ!)」という内容だったということです。

つまり、彼女は誤ってイタリア事務所の従業員宛にメールを送ってしまったということです。でも、さすがイタリア人男性ですね!たとえ間違いであっても、女性からの誘いには冷たく対応したりしません。「ちょっと遠すぎるので、約束の時間に間に合いそうにない」という洒落た答え方も最高です。

メールでのジョークのやりとりも楽しいですが、外資系企業のオフィスでは、上司と部下の会話においても、ちょっぴり辛口のジョークを投げ合いながら仕事を進めるケースもよくあります。

例えば、上司から「今回これらの案件については、あなたにすべて任せたい」などと言われた際に、“Thank you so much for such a burden.” 「これほどのburden(重荷)をいただきまして、大変ありがとうございます」と笑顔でさらっと言えるようであれば、もう一人前です。

上司としても、部下に切り返すチャンスはいくらでもあります。ある時、スギ花粉が猛威をふるっている春先のオフィスで、上司を前にしてどうにもクシャミの止まらない社員がいました。彼のアメリカ人上司は、嬉しそうに微笑みながら “Are you allergic to me?” 「あなた、もしかして私アレルギー?」と言って、花粉症の可哀想な部下をやり込めていました。

こうしたジョークを言い合えるのは、日頃からの信頼関係が築けているからこそと言えるのかもしれません。でも、ウイットの効いたジョークには、それ自体に人間関係の距離を縮める不思議な力があるものです。

話は変わり、以前、海外のトレードショーに出展した日本企業にアテンドした時のことです。私を含めトレードショーの関係者は、毎日送迎バスを利用して宿泊先のホテルと会場との間を往復していました。関係者が宿泊する指定ホテルは2つあったため、送迎バスも2台用意されていました。そのため、トレードショーの終了時に関係者を迎えに来るバスの添乗員たちは、乗客が2台のバスのうち自分が乗るべきバスを間違わないように、常にバスの乗車口で “Are you sure you are going back to ## Hotel?” 「##ホテル行きでお間違えないですか?」と行き先のホテルを告げて乗客に注意を促していたのです。

ある日、私が乗ったバスの添乗員が満席になったバスの座席に向かい、“Are you sure you are going back to ## Hotel?”と最終確認のコールをした際に、乗客の1人がすかさず “Are you sure THE BUS is going back to ## Hotel?” 「このバスが##ホテルに行くことは間違いないのですか?」と聞き返したため、バスの中で大爆笑が起きました。結構ウイットが効いていて、またその場の状況にぴったりのジョークだったため、疲れきった乗客を乗せたバスの車内が一気に和やかな雰囲気に変わったことを覚えています。

ジョークは、コミュニケーションを円滑にする魔法のような存在です。ひとかけらのジョークによって、話し相手との距離や、その場に居合わせた人たちとの距離を劇的に近づけることができるのです。

あなたも今後、誰かと英語で話す際には、ぜひあなたならではのジョークを取り入れてみてください。できれば、少しだけwittyなものを。あなたの会話力がたとえ十分ではなくても、それだけで英語を話す人たちの人気者になれるはずです。

See you!お