英語で伝えたい日本文化とは?

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今週は、お盆休みを兼ねて夏休みを取られた方も多かったのではないでしょうか。国内・海外への旅行もよいですが、近場でも夏休みを楽しめる方法はいくつかあります。例えば、浴衣を着て参加する花火大会、ビールを飲みながらのナイター観戦、また、アナゴの天ぷらをつまみながらの屋形船クルージングなど、都会にいてもそれなりに夏を遊べるものです。

私自身、屋形船での宴会経験はこれまでに何回かありますが、数年前の夏、屋形船で日本人ならではのとても風流な企画を楽しみました。何かと言うと、屋形船をチャーターして句会を楽しむ催しです。句会とは、参加者が自作の俳句を出し合って評価・批評し合う集まりを言います。主催者は私の友人の高校時代の同級生である出版業界の方で、参加メンバーのほとんどは彼が主催する句会の常連さんでした。広告代理店勤務の方やセールスライターの方など、主にクリエイティブ業界で仕事をする方々でしたが、ある意味時代の先端を行く業界で活躍しながらも、句会のようにみやびなひとときをいつも楽しんでいる方々がいるというのは新鮮な驚きでした。

句会に参加するにあたり、私は初めて俳句を作る作業に挑戦しました。この句会では、主催者から提供された「お題」をテーマに俳句を作ることになっていましたが、そもそも俳句作りにおける大切な約束事として、季節を示す季語を入れることを忘れてはいけません。俳句初心者の私は、まず季語について調べる作業から始めました。

俳句の季語には季節ごとに実に膨大な種類があるのですが、季語の一覧を眺めるにつけ、不思議なことに、いつしかとても幸せな気分になっている自分に気づきました。例えば、夏の季語である風鈴、水玉、朝顔、サルビア、蛍、こうもり、金魚、びわ、きす、そら豆、打ち水、夕立などといった文字を目にしているうちに、子供の頃からのさまざまな思い出や記憶のひとコマなどが次々とよみがえってきて、日本人に生まれてよかった~という幸福感が胸にあふれてきたのです。そして、そのまま楽しく俳句を作ることができました。

その後、あの幸せな気分は一体どこからやってきたのか、思い当たることがありました。長年京都で日本の伝統的な和菓子を作り続けてこられた和菓子職人の方が、あるTV番組で日本の文化とは何かについて語っているのを聞いた時のことです。その内容は概ね次のようなものでした。

「日本は美しい四季に恵まれた国。私たちは、季節の移り変わりを日々感じながら生活している。毎日見る空の色や風のにおい、そして木や草や花のわずかな変化に季節の移ろいを感じ、そこに小さな楽しみを見出しながら生きている。日本の文化とは、このように、日々自然と向き合い、季節を感じ楽しみながら、季節と共に生きていくことに他ならない」

私は、このコメントにとても感動してしまいました。また、何て美しくて素敵な日本文化の定義だろうと思いました。この和菓子職人の方の言葉に心から共感すると同時に、これこそ海外の方々に伝えたい日本の文化、日本人の心だと思ったのです。

四季は日本だけにあるものではありませんが、季節というものが衣食住のあり方に密接に結びついていて、食事やファッションなどの文化に完全に根付いている国は日本だけかもしれません。和食の世界であれば、素材に始まり料理を盛り付ける器にも季節感を取り入れることが常識となっています。また、「季節限定メニュー」がこれほど定番化している国も他にはないかもしれません。私たち日本人の中には、季節の変化を敏感に感じ取り、季節を愛でるDNAが生まれながらに組み込まれているような気がしています。

日本の文化と言えば、未だに多くの外国人が思い浮かべるのがニンジャやゲイシャ。食事ではスシ、テンプラ、そして最近人気のラーメン。観光では京都。さらに、日本が誇るポップカルチャーのアニメや漫画。その他カラオケやウォシュレットも日本の文化としてポイントが高いようです。

あなたなら、日本の文化について外国人に尋ねられた時、何を話すでしょうか?まずはポピュラーでトレンディな和食ネタから行くのが王道かもしれません。でも、日本の美しい四季の移り変わりや日本人の自然への美しい向き合い方について、綺麗な英語できちんと伝えることができたなら、彼らの中で日本に対する憧れ度がさらに上昇するように思います。

2020年に向けて、私もぜひこれにチャレンジできるよう日々精進してまいります!

See you!