実は一番易しい「スピーキング」

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秋の気配が感じられるようになった今日このごろです。英語学習にも落ち着いて取り組みたい季節ですね。今回は、「読む」「聞く」「話す」「書く」という英語の4つのスキルのうち、「話す」ことが一番簡単というお話です。

『英語を話せるようになりたい』と思って学習を始める方々は、大まかに2つのタイプに分かれるようです。1つ目のタイプは、会話するには、『まず、相手の言うことがわからないと』と、聞き取りの学習から始める方。2つ目のタイプは、たとえリスニングが満足にできなくても、構わずにどんどん英語を話すことにチャレンジしていく方です。

前者は、たぶん慎重派で確実な学習成果を求めるタイプ。一方、後者は、物事じっくり考えるよりも、とりあえず行動に移してみるというタイプでしょうか。ちなみに、私は、前者のタイプです。まずは、ある程度、自分なりの守りを固めてからでないと、攻めに転じられない典型的なタイプですね(笑)。

どちらのアプローチにも長所と短所はあると思いますが、こと英会話に関しては、後者のタイプ、つまり、とにかく今自分が使えるボキャブラリーを駆使して積極的に英語を話そうとする方々の方が、概して上達が早いように感じます。このタイプの方々は、出たとこ勝負型とも言えますが、ある意味コミュニケーションの本質をよく理解されているのかもしれません。

例えばリスニングは、あくまでも相手ありきです。相手が話す英語の特徴や話す速度、また話の内容や難易度などによって、自分がどこまで対応できるかが決まります。一方、スピーキングでは、自分のスキルレベルにかかわらず、常に主導権が自分の側にあります。つまり、

・自分で会話の流れをコントロールできる。
・自分が話したい話題で会話ができる。
・自分のペースで会話を進められる→こちらのペースに相手も合わせてきてくれる。
・リスニング力が足りなくても、適切な聞き返しができれば会話を続けられる。

言うまでもなく、英会話のシーンにおいては、リスニング能力が高い人よりも、スピーキング能力の高い人の方が圧倒的に有利なのです。リスニングのトレーニングももちろん重要ですが、英語を話すために一番必要なことは、英語を実際に口から出すアウトプットの練習です。

実は、英語の4つのスキルの中では、スピーキングを上達させるのが一番簡単です。日本人にとってハードルの高いリスニングに比べ、スピーキングのスキルアップは、会話の相手がいなくても難しいものではなく、セルフトレーニングだけでも十分な成果が得られます。だからこそ、初級・中級レベルの英語学習者には、もっとスピーキングの練習に励んでいただきたいと思っています。

英語を話すために必要な知識・スキルは、主にボキャブラリーと基礎英文法、それから、会話のスピード感というものも、英会話では結構重要な要素となっています。

英会話をスムーズにこなすためには、どのくらいのボキャブラリーが必要なのでしょうか?ネイティブスピーカーが使う語彙は、約2万語と言われています。ただし、英語圏における一般的な会話のコンテンツの90%以上は、Oxford 3000と呼ばれる3000語レベルの語彙でカバーされているということです。この3000語の語彙がしっかり習得できていれば、どんなテーマであれ、ほぼ会話ができるということですね。ちなみに、日本の中学・高校で学習する英単語の総数も約3000語ということです。

英会話に難しい英文法は必要ありませんが、中学で学習する英文法のスキルは必須です。話すための英文を作ったり、英文を必要に応じてアレンジしたりするためには、中学レベルの英文法がよく理解できていることが前提となります。ネイティブの日常会話も、その9割以上は中学英語レベルの構文で成り立っています。

英語の世界では、質問されてから3秒以内に回答することが暗黙の会話ルールだと言われています。その意味でも、英会話ではテンポよく話すことが求められます。そこで、初級・中級レベルの英語学習者が瞬発力の課題を克服するためのヒントをいくつかご紹介します。

・短い文をたくさんつなげて話す。
・言いたいことを子供レベルのシンプルな日本語で考え、シンプルな英語で表現する。
・最も言いたいポイント・結論をまっ先に述べる。
・先に述べたことの理由、具体例、詳細説明などを後から一つずつ補足していく。
・少し考えたいときには、相手の質問を繰り返す。

ネイティブスピーカーではない私たちがテンポよく会話するための一番のポイントは、やはり「短い文をたくさん話す」ことに尽きるのではないでしょうか。短い文を and/so/but/because などの接続詞を使っていくつもつなげて話していくことで、会話にリズムと一定のテンポが生まれるからです。

また、上記に加え、常日頃から、自分が英語で話したい内容や、英語での説明を求められそうな事象について、自分で英文を作成し、それを声に出して練習しておくことも必要です。そうした準備を重ねることが、会話のスピード感向上に役立ちます。

ところで、今年の全米オープンテニスで優勝した大坂なおみ選手は、男子選手並みの強力なサーブを武器としています。テニスの試合において、唯一自らが100%コントロールできるもの、それがサーブです。サーブを制することで、試合の主導権を握ることができます。そのため、どの選手にとっても、サーブは最も強化すべき領域とされています。

英語を話せるようになりたいと思っているあなたが、最も練習すべき領域はスピーキング― 英語を実際に口に出すこと ―です。スピーキング力を強化することで、あなた自身が会話をリードし、あなたの思うような会話を外国人と楽しめるようになります。リスニングの学習や会話フレーズを覚えることだけに終始せず、ぜひアウトプットの練習に時間を割いてください。まずは、短い文を一つひとつ声に出すことから始めていきましょう。

英語はとても不思議なもの。英語を声に出す習慣が、あなたのリスニング力をも向上させてくれます。

See you!