Do You Want to Help Me Out?

こんにちは、eigomob.comへようこそ!           

中学2年生の時、学芸会の英語劇で、生まれてから1度も笑ったことがない王女様の役を演じました。一応、準主役なのですが、セリフはあまりなく、劇の前半では常にシクシクとむせび泣き、後半のクライマックスでは突然高笑いを連発するという難易度の高い役柄でした。なぜこんな役に私が選ばれてしまったのか今も不思議です。主役はジャックという名の庶民の青年で、この青年がたまたま王女を初めて笑わせるシチュエーションを作り出したため、2人はめでたく結婚に至るというストーリーでした。

ジャック役に選ばれたのは、私と違うクラスの成績優秀な男子生徒でした。初めて一緒に劇の練習を行った際に、彼の英語があまりに綺麗だったのでとても感動したことを覚えています。彼の英語には、何と言うか、標準的なスクール英語のスピーキングレベルを超えて、なめらかでナチュラルな生の英語の響きがありました。彼の英語を聞いたとたん、相手役を務める私は、身が引き締まる思いで一杯になりました。そしてこのことが、その後、英語を学習するモチベーションに結構つながったような気がしています。「I君、ありがとう!」

さて、英会話のほぼ9割は、中学英語の構文で成り立っていると言えます。そのため、中学英語をしっかり使いこなせていれば、ボキャブラリーの問題を除き英会話でそれほど困ることはありません。中学英語には本当に実用的な要素が沢山つまっていますが、学校ではあまり教えてくれない使い方やルールがあり、このような用法の中にはネイティブスピーカーが頻繁に使う表現や日本人が間違いやすいポイントがあるため注意が必要です。ちょっとした意味の取り違えにより、思わぬところでコミュニケーションに支障をきたすケースも少なくありません。今回は、そんな注意すべき用法について書いてみました。

[Want To] の意外な用法に要注意❣

では、最初に問題です!今回のブログの表題 “Do you want to help me out?” はどういう意味でしょうか? 「あなたは私を助けたい/手伝いたいですか?」と訳したくなりますが、何だかちょっと違和感がありますよね。実は、これは「ちょっと助けて/手伝ってもらえない?」と相手にお願いする時のカジュアルな表現になります。では、次の表現はどうでしょうか? “You want to wear a mask.” これは、「あなたはマスクをしたがっている」ではなく、「マスクをした方がいいよ」と相手に提案するカジュアルな表現になります。このように、Do you want to ~?には相手に対する依頼を、You want to ~には提案を表現する用法があります。提案を控えめに言いたい場合には、助動詞のmightを加えて “You might want to wear a mask.” とすると、「マスクをした方がよいかもしれません」と柔らかく表現することができます。

このYou (might) want to~という表現は、オフィスでも頻繁に使われています。この用法は、相手にさりげなく提案できるとても便利なフレーズですが、初めて出会った時にはちょっと戸惑いを覚えるフレーズかもしれません。私が過去に勤めていた会社では、アメリカ人の女性人事部長がメールの文面でこの表現をよく使っていました。はじめのうちは彼女のメールの意味が十分理解できずにいたのですが、後になって、彼女が私に親身にアドバイスしてくれていたのだと気づいたことがあります。

また、ある時ある会社の英語の面接を受けた際に、“Do you want to work on some translation?” と質問されたことがありました。「翻訳業務にご興味ありますか?」という主旨の質問だと疑わなかった当時の私は、即座に “No, I don’t.” と答えたのです。これも後になって気づいたことではありますが、たぶん先方は、「翻訳の仕事も多少担当してもらえますか?」と質問したのだと思います。いや、きっとそうでしょうね。面接官の目に私はかなり感じの悪いcandidate(候補者)と映ったはずです (笑)。もちろん、面接の結果も✖でした、はい。

[Will] の使い方には要注意❣

もうひとつ注意が必要な用法として、未来のことを表現するwillとbe going toの使い分けがあります。この2つの違いが正しく理解できていない日本人は本当に多いので、心当たりのある方は、以下の内容をチェックしてみてください。

私たちは中学で、will+動詞の原形は単純未来や意志未来を表し、be going to+動詞の原形は既に予定されていることを表現する際に使われると教わります。実際に週末の予定や休暇の予定などについて話す時にはbe going toの構文を(正しく)使える人が多い一方で、今から先のちょっとした行動内容を表現する際には、『とりあえずwillを使う』という人がほとんどではないでしょうか。実は、未来の行動について語る場合、willはとりあえず使ってはいけない助動詞なのです。

未来表現におけるwillとbe going toの使い分けは、未来の行動が『前もって決められているか』または『その場で決めるか』によって判断されます。これを具体的に整理すると、発言する前から決まっていた行動については be going to が、逆に会話の中で決めたこと・思いついたことを語る場合にはwillが使われるということです。そこで注意すべきは、例えば、仕事が終わった後の予定を聞かれたり、お誘いを受けたりした際の受け答えです。ついなんとなくwillを使って “I will go home now. (今からウチに帰ります) ” とか “I will meet someone tonight. (今夜は人に会います)” などと言ってしまうと、相手に対してとても失礼な対応になってしまうのです。なぜなら、あなたが今からウチに帰ることも、これから誰かに会うことも、すべて相手の言葉を受けて決めた行動とみなされてしまうからです。思い返せば、私も過去に各方面で随分と無礼な発言をやってしまっていました。今更ながら深く反省しております。

それぞれの英語表現が持つ多面的な意味やニュアンスを理解している人は、英語との沢山の『出会い』を経験した人にほかなりません。教材を使っての学習でも、洋画や海外ドラマを観ることでも、洋書を読むなり、好きなマンガを英語で読むことでも、結局、英語との出会いの頻度が高い人ほど幅広い英語力を身に付けることができるのです。コロナで人との出会いが制限されている中、あなたもぜひ英語との出会いの場を増やしてみてください。

See you!