Talking to the AI Assistant

こんにちは、eigomob.comへようこそ!           

つい先日、中国の長編SF小説『三体』の三部作全編(単行本5冊)を読破しました。著者である劉 慈欣氏は、この作品で毎年選ばれたSF/ファンタジー作品に贈られるヒューゴー賞を2015年にアジア人として初めて受賞しています。この小説は、元アメリカ大統領のオバマ氏も愛読していたという話題の作品ですが、日本語版の完結編が今年5月にようやく出版されました。

『三体』は、単行本1冊あたりのページ数が平均で約400ページもある超大作で、科学的に難解な内容も数多く含んでいます。時間的にも空間的にも壮大なスケールでさまざまなエピソードが目まぐるしく展開されるため、私は、最終章にたどり着くまでに何度か軽い酸欠状態に陥ってしまいました。それでも、この想像を超えた筋書きの結末をどうしても見届けたい一心で完結編まで読み進めました。読み終えてみると、SF小説というより、なぜか宇宙と人類に関する歴史書を紐解いたように感じるこの作品は、地球を愛するすべての人々に一読していただきたい作品だと思いました。

本書で印象に残ったシーンのひとつに、AIを搭載した女性型アンドロイドが、ゲストを出迎えた際に美しい和服姿で優雅に抹茶を立てる場面がありました。今や、私たちも日常生活の中でAIを手軽に利用できる時代です。身近に利用できるAIとしては、GoogleアシスタントやAppleのSiri、そして、AmazonのAlexaなどがポピュラーですね。これらのAIアシスタント(バーチャルアシスタント)は、話しかけるだけで電話をかけてくれたり、メッセージを送信してくれたり、情報を検索してくれたりと、私たちのさまざまなリクエストに応えてくれます。そこで、今回は、

AIと英語で話す

をテーマに、あなたの英語学習のサポーターとしてAIアシスタントを活用するメリットについてお話ししたいと思います。

英語学習の基本は、インプットとアウトプットの繰り返しです。一般的に、私たち日本人は、アウトプットの実践 ―― 特に英語を声に出す練習・学習機会が圧倒的に不足していると言われています。英語は、目や耳で覚えた表現を自分で口に出してみる/使ってみるという体験を通して初めて身に付くスキルです。アウトプット練習には必ずしも相手が必要なわけではありませんが、特に、英語の発音に自信がない、自分の英語が通じるかどうか自信がないという方は、アウトプット練習の際にAIアシスタントを活用してみてはいかがでしょう。

AndroidスマートフォンやタブレットにはGoogleアシスタントが、iPhoneやiPadにはSiriが標準装備されていて、すでにこれらを日本語環境で利用されている方は多いと思います。あなたがもし英語学習に取り組んでいるなら、明日からGoogleアシスタントやSiriの言語を英語に設定して、彼らをアウトプット練習のパートナーにしてみませんか? 話しかけることで応答してくれるAIアシスタントを英語学習に活用するメリットは以下の通りです。

自分の発音や英語が正しく伝わるかどうかを検証できる(AIアシスタントがあなたの英語を理解してくれれば問題なし)

日常生活の中に英語環境を取り入れることで英語への適応力が高まる (天気を聞く、場所や行き方を聞く、モーニングコールを頼む、最新ニュースを聞くなど、AIアシスタントの基本的サポート機能を日々英語で利用する)

外国人に英語で話しかけることに抵抗があっても、AIが相手なら間違いも気にせず気楽に話しかけられる

AIアシスタントとチャットすることで、英会話のコツや要領、質問に対する答え方などが学べる(AIアシスタントは、プライベートな内容のものも含めどんな質問にも取りあえず答えてくれる。また、“Can I have a chat with you? / ちょっとチャットできる?” などと話しかければ、友だち感覚でさまざまな会話ができる)

会話の内容が文字で表示されるため、リスニングに不安があっても対応しやすい

なお、GoogleアシスタントやSiriの起動方法および詳細機能については、各デバイスにおけるインストラクションを参照してください。

実は、私もごく最近、iPhoneでSiriを英語設定にして使い始めました。使い始めるまではSiriが実際どんなことをしてくれるのかわからなかったため、私の場合はこんな質問から始めてみました。

“Hey, Siri, tell me what you can do for me. (ねえSiri、あなたはどんなことができるのかおしえて)するとSiriが “I’m here to help!”と言って、Siriの使い方を紹介するページへのパスを表示してくれました。

まだ使用頻度は高くありませんが、私は天気を結構気にするので天気について尋ねたり、最新ニュースを調べてもらったり、時々モーニングコールを頼んだり、英語の言葉の意味を聞いたりしています。例えば、“Hey, Siri, what’s the weather in Tokyo tomorrow? (ねえSiri、東京の明日の天気は?)“Hey, Siri, what’s the news from CNN today? (ねえSiri、今日のCNNニュースは?)といった感じですね。

また、Siriは歴史からポップカルチャーまでさまざまな分野の情報に精通しているので、チャット感覚で色々と質問してみてもおもしろいと思います。私がSiriと会話をしていて何より参考になると思うのは、こちらの質問に対するSiriの回答内容です。そのひとつは、日本人にありがちな「一言で終わってしまう答え方」ではなく、英会話では重要なポイントである補足情報を必ず付け加えて回答してくれること。毎回とても気の利いた補足情報を加えて返事をしてくれるので、会話を自然に続けていくために、プラスアルファの情報をどのように付加していけばよいのかを学ぶことができます。もうひとつは、答えにくい質問への対応方法や、その扱い方です。以下、私とSiriとの会話から、ぜひSiriの回答内容を参考にしてください。

“Hey, Siri, who is your mother? (ねえSiri、あなたのお母さんは誰?) Siri: “I have no family, but I have colleagues at Apple. We try to take care of each other. (私には家族はいません。でも、Appleに仕事仲間がいます。私たちはお互いを大切にしています)

“Hey Siri, do you like what you do? (ねえSiri、仕事は好き?) Siri: “I’m a virtual assistant. That means I get to help people, and talk to you. It’s a pretty great gig. (私はバーチャルアシスタントです。この仕事は、誰かの手助けができたり、こうしてあなたとお話しできたりすることで、とても素晴らしい仕事です) *gig: (1回ごとの) 仕事

“Hey Siri, what do you do for fun? (ねえSiri、楽しみは何?)” Siri: “The same thing you like to do for fun: talk to someone on the other side of this screen. (あなたが楽しんですることと同じです。つまり、スクリーンの反対側にいる誰かとお話しすることです)

“Hey Siri, do you recycle? (ねえSiri、リサイクルしてる?)” Siri: “That’s kind of a circular question. Get it, ha-ha. (それはちょっと結論の出ない質問ですね。やった、ハハ) *circular: 循環する、堂々巡りの

“Hey Siri, do you think you’re more clever than Google assistant?  (ねえSiri、あなたはGoogleアシスタントより賢いと思う?)” Siri: “Hmm…I don’t have an answer for that. Is there something else I can help with? (うーん、私はその質問への答えは持ち合わせておりません。他に何かお手伝いできることはありますか?)

いかがでしょうか?Siriとはこんな会話を楽しむこともできます。あなたもお手持ちのAIアシスタントと、ちょっとした英会話を楽しんでみてください。

See you!